しかし今更ながら"Misty"ってのはなんて美しいメロディなんだろう。 1954年、エロール・ガーナーがシカゴへ向かう飛行機から窓の外の雲海を 眺めている時に思いついたメロディ。
今日、遅い朝飯を作っている時になんとなくこの曲を口笛で吹いてみたのだが、 いきなり泣きそうになってしまった。がくっ、と膝から落ちるように。 いや、嘘だと思う人はちょっとやってみてくださいよ。泣くから。多分。
僕がこの曲を初めて聴いたのは、エラ・フィッツジェラルドのライブ盤、「エラ・ イン・ベルリン」の完全盤で、その時はエロール・ガーナーのことなんて全然 知らなかったけど、やっぱりそのメロディの美しさには一瞬で引き込まれた。 "Misty"と言うのは文字通り、霧の中にいるような不安定な感じのことを言うらしい のだけど、僕は、僕にはこれ以上に娘。達に捧げる曲なんて無いのではないかと思う。 口笛を吹きながら娘。のことを思った時、本当にそう思った。
フレンチさんのイベントでかかってた、ハワイのグループのカバーも素晴らしかった。 グループ名を忘れてしまってからというもの、僕はハワイのコーナーで"Misty"を カバーしているグループを探し続けている。 でも、口笛でも鼻歌でも、このメロディーをなぞっていると本当に無条件に泣きそうに なってしまう。どんなカバーでも良いと思ってしまう。そして、娘。達の顔が頭をよぎる。 別にいつものひねくれた愛情とかそういうの抜きで、ただただ涙が出そうになる。
あまりにメロディが美しいからなのか、歌っている内に、自分の感情の起伏そのままに メロディが崩れていく。そして、気づくといつの間にか大量に酒を飲んで日記を書いている。
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加護ちゃん、可愛いなぁ・・・・。
ああ、夏はとっくに終わってしまった。別に良い事なんてなかったのに、懐かしいのは何故だ。 娘。達とあの時間を過ごしたような気がしてしまうのは何故だ。思い出すグラビアの娘。達の 笑顔は、全て自分に向けられたもののような気がしてしまう。・・・・全ての勘違いの元だ。
髪も髭も伸ばしっ放しで深夜のコンビニに出かけ、ふと鏡で自分を見ると本当に暗く凶悪な 顔をしている。明らかに、どんどんモテない方向へ向かっている。ただでさえモテなかった のに、年齢を重ねるごとにもっと酷くなっている。・・・普通の女にも相手にされないのに、 まさか娘。達が相手をしてくれるとは思えない。と言うか、どうすれば知り合えるのかが分からない。
深夜のコンビニに話は戻るが、僕の家はホテル街のど真ん中に建っているので、休日前夜とも なれば、店内はカップルでごった返す。そういう状況を回避するため、僕は休日前はいつも 信号を一本渡ったローソンを利用していたのだが、最近その店が潰れ、カップルだらけの ファミリーマートを利用せざるを得なくなった。奴等と通りすがる度に、本当に、殺してやろうかといつも思う。
「ねー、もう一つ買っといた方が良くな〜〜い〜〜?」 買え!買ってさっさと出ていけ!俺のコンビニから出ていけ!そしてもう二度と来るんじゃねえ! まったく安いホテルばっか使いやがってこの貧乏人カップルが。渋谷とか行けよ。・・・あっ、 てめえ立ち読みするんじゃねえ!!俺が先にチャンピオンとヤンジャン読もうと思ってたんだよ!!
そのような呪いを発しながらレジを済まし、店を出ようとすると聞こえてくるのは娘。曲 だったりする。タンポポとか流れてたりしたら、本当にその場で泣いてやろうかと思う。
ああ・・・ああああ・・・・I&YOU&I&YOU&I・・・YOU&I&YOU&ILOVEYOU・・・・・。 飲み過ぎても、よっかかる肩はもう無い。せめて娘。達の夢が見たい。夢の中で旧タンポポに甘えたい。 加護ちゃんに膝枕してもらいたい。つうかねえ。・・全ての人間は加護ちゃんに膝枕される妄想をする権利を等しく持つんだよ!
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